「生きがいについて」5章中心
☆全体的な感想
- 自分の場合と重なり、つらくもあり、共感もあるという複雑な気持ちで読んだ。
- 生きがいを奪い去る原因はいろいろあるが、そのときの心の反応には、共通点がある。
- 著者は、らいの人たちに寄り添い最大限に理解しようとしたが、やっぱり分かりえない、こう言っており、そう認識することが、大事なことなのだろう。
- 何度か読むとそのたびに新しい読み方が生じるようだ。
☆注目箇所の抜粋
- 客観的にみればそれ自体善とも悪とも言えない「運命的」な現象も、このように人間の心との関係という地点からみるときには、種々な様相をおびてくる。
したがって運命とは、単に外側から人間の上にふりかかって来るものだけを意味するのではない。同じ打撃でもその受けとめかたがちがい、その影響のしかたがちがう。
ことに人聞が持ってうまれた性格は、これまた内的な運命というべきものであるから、すべて人生において岐路をつくるような出来事は、外的な運命と内的な運命との出会いというべきものである。
それゆえに人生においてだれひとり同じ運命に会うひとはないことになる。
また、人間の意志を超えた力があるひとの生活史に作用するとき、それがどのような意味を持つかということは、そのひとがそのことにどのような意味を持たせるかということでもある。つまりこれは、そのひとの独特の創造であるともいえる。
(p.100)
- いずれにせよ、自分の一生が生きがいあるものであったかどうかという問いは、そのとき、多くのひとの心にひらめくであろう。
多くの生きがいが死の接近によってうばわれるとしても、残されたわずかな生きる時間のなかで新しい生きかたを採用し、過去の生に新しい意味を賦与することさえありうる。
(p.112)